2012年4月14日土曜日


「アラアラ・・・ジャムさん、そんなにお食べになっては身体に毒ですよ?」

2月14日、その日『トラブルメーカー』のジャムは、しかしおとなしくしていた。
それもそのはず、この日、あるウチを訪ねるとたくさんチョコレートを食べられるからだった。
独身男、駆け込み寺・・・。

ちなみに、『営業職』経験のある作者であるが、
ギョーカイ用語で男性独身者を通称男独(ダンドク)、女性独身者を通称女独(ジョドク)と呼んでいた。
残念ながら『ひとりもの』であるということは、それだけで区別の対象になってしまう世の中である。

『男独』・・・彼らに『2月14日』は常に残酷な存在で、『12月24日』の『終戦』(WAR IS OVER)を迎えるまでの
恋愛皆無的『一年戦争』における開戦記念日といって過言ではない1日であった。
幸せなカップルとの戦いはまさにこの日、毎年始まるのである。

しかし、彼らにも希望はあった!

最後の砦(とりで)とも言うべきそのお宅は、かなりの・・・そう、かなりの『おじさん』達および『こども』達であふれていた。
大城那 美実(おおきな みみ)。
『セントバレンタインデーの聖母マリア』と呼ばれる女性である。

ミミ先生は慈愛・博愛、とにかく広く万民を全て平等に愛する精神に溢れた先生で、しかもかわいい。
かわいいのだが、30代前半の『オトナ』の女性でもあり、落ち着いているというか、かなり穏やかな性格が大人気であった。

ジャムいわく
女子高生だ、女子大生だ、20代だ・・・
とか言ってるうちは男もまだまだコドモ、
恋愛も児戯(じぎ)よ。
女の魅力は30を過ぎねばわからん、わからんのだよ。
しかも未婚の女教師!
これはもう、
無形文化財にして国の宝じゃ。
・・・とのことで、事実、ちょっとませた若い者をのぞき、おじさんからジジイに至るまで熱中している始末。
子供にも人気のある優しい先生なので、もし『オムス総帥』を除いて考えれば村での人気はトップクラスだ!

バタ子さんと人気を二分する、いわゆる『おとなのおんな』・・・『おね〜さん』よりもう一歩、高みにのぼった存在であった。

ミミは、毎年2月14日には『チョコレート菓子パーティ』を自宅で開催する。
これは、本当はクラスの子供たちを対象にしたものであったが、しかし、いつのまにか大人も来るようになってしまい、
一種
「お祭り」のようになってしまったのであった。

もちろん、子供たちは『わいわい』できるので大喜びなのであるが、
このパーティのにぎやかさにまぎれて、個人的にこっそりと女の子がチョコを渡せるという、さりげない、
女の子のための『勇気を後押し』してくれるものでもあり、
なおかつ、男子はみんな先生からチョコをもらえるので不幸な結果に終わる者はいない・・・という、全員が満足する祝宴であった。

「ジャムさん・・・毎年のことながら、アンタちょっとミミ先生に近づきすぎじゃないか?」
「そうだ、そうだ」


パーティ会場の一角から、ミミ先生目当てでやってきた親父たちの怒号が飛んだ。

「なんじゃと?」
ジャムの目がキラリと光る。


どのような休日はギリシャを祝うのですか?

ジャムは男たちにスッと近づくと、すれ違いざまに指先で二、三箇所をつついた。
古式活殺秘伝、『指止点欠(ししてんけつ)』

江戸幕府で途絶えたという持ち出し厳禁の必殺暗殺術が光る!

「て、てめえ、コラ、ジャム・・・な、なにをしやがった・・・。」
「う、動けない・・・動かないぞ、カラダが!」
「30分自由を奪う刻縛(こくばく)というツボを突いた・・・
己(おの)が未熟をそこで恥じるがよい。」

「ち、ちくしょう・・・。」
「っていうか、その能力を他に回せ、くそジジイ〜ッ!」

ジャムおじさんは、さりげなくミミ先生の隣りへと陣取った。

「せんせ〜♪チョコはおいしいですな〜♪」
「あら。お気に召しまして?今日のチョコは、全部、いろいろな国からお取り寄せしたものですのよ。
さすがに、この量は手作りというワケには参りませんので・・・。

でも、こうして見るとチョコひとつとっても奥深いですわね。
私、手芸に凝ってますので、こうした細かい細工を見ると、もったいなくて食べるのに気が引けてしまいますの。
でもジャムさんのように、バクバクと、おいしそうに食べているのを見ると、それだけで幸せになりますわね?」
「それだけで?」

ジャム、俄然『気合い』が入る。

「み、ミミ先生!」
「・・・はい?何でしょう・・・?」
「ワシ・・・きっと、きっとアナタを幸せにしてみせますわい。」
「あ、あら、何です?またいつもの・・・ご冗談が過ぎますよ?」
「冗談はよし子さん。」
「・・・あら、なつかしい。あらためて聞かされると死語も逆に新鮮そのものですね・・・」
「いや、その、つまりワシは本気です。
この歳になって、その、アレじゃけど・・・本当に・・・ワシ・・・ミミ先生のこと・・・先生のことを・・・
だいす・・・だいす・・・」

「サイコロ?」
「そう、ダイス・・・いや、違うくて、ワシ、その、
ええい!
言葉より行動、論より証拠、百聞は一見にしかず
"やって美佐子の見て光男"じゃわい!
見てください、これがあなたへの
愛のカタチじゃ〜っ!」

ばくばくばくばく、もぐもぐもぐもぐ・・・・・・!

ジャムはチョコレートを「おいしそうに」たくさん食べてみせた。
それだけで幸せだという彼女のために・・・。

しかしそのとき、上空をゴリアテが通過。

ミミ先生の目は宙へと注がれた。

おっとりしていたミミ先生が、クルマにはねられそうになったとき、
偶然、
彼女を救ってくれた、彼女の『白馬の騎士』・・・永遠のヒーローがその中に・・・ゴリアテに居るから。

軽々と彼女を抱え、はずれかけていたメガネを直してくれたその男。
ミミにとってはじめてといっていい、衝撃的な恋。

「けがはないか?」
「きをつけたまえ。」

彼の残した言葉はそれだけ。
彼女の人生の中でひときわ輝くその彼は、名を『オムス』と言った。

総帥・・・今日もお仕事、がんばってください。

空を見つめる目は自然とうるみ、手はいつの間にか胸の前で固く組まれていたのであった。


歌 - "私は時間が、あなたを愛し、すべてをloveyouます。"

「せんせ〜、これで200個目じゃぞ〜!」
「ジャ、ジャムさん!い、いつのまに!た、食べすぎですよ。口の中のを少しぺっしなさい、ぺっ!」
「幸せにするんじゃ〜♪」

そして、その頃。

『ジャムのいない』パン工場には、働き者のバタ子さんしか居なかった。
ザンパンマンも、もちろん、担任のミミ先生の開催している『チョコレートパーティ』に出席だ。

バタ子は、誰もいないパン工場でひとりため息をついていた。

プロフィールを見て欲しいが、彼女にはこの日、実はもうひとつのイベント・・・個人的なものがあるのだった。
誕生日。

彼女は実は、バレンタインデー・・・2月14日に生まれているのだ!
しかし、女性にとって、『この日に生まれる』ということはあんまり、そう、微妙な1日なのである。

「っていうかこっちがあげるの?」

この日に生まれるオンナ、ただそれだけでひとつの大きなツッコミを得る。
彼女は天性のツッコミ娘として世に送り出されたのである。

オムス軍警察(市役所)からは、誕生日の人には必ず『お祝いカード』が届くようになっているが、
まあ、私がこの日に生まれたことを知ってるのは市役所の人間とか、記憶力のいいオムスぐらいだろう・・・。
ザンちゃんは覚えてくれてるけど、「とにかくパーティには行っておいで♪」と言ってあるから今んとこ1人だ。

ジャムおじさん?

あの人は、「今日は何の日?」って聞いても「ナンの日」とかワケわかんないことを言うのであきらめた。
言うまでも無いが別に今日はインドのパンの日ではない。

そして、あと2人だけ、私の誕生日を覚えてくれてる人がいる・・・。

「今年も・・・アイツらは来るのかなぁ・・・?」

バターン!
バタ子がつぶやいたまさにその瞬間、パン工場のドアが勢いよく開いた。
と同時にくるくるくる〜っと赤い絨毯(じゅうたん)がバタ子のほうに伸びてきた・・・。
「この日・・・ひとりの天使が、地上に舞い降りた・・・。
彼女の肌は
のように白く、触れれば溶けてしまいそうで、
彼女の髪は
のように美しく、
つかもうとしても流れてしまいそうで・・・

私は世界一不幸な男。全てが皆、虚しく見える。
なぜなら、自分より美しいものを知ってしまったから。
バタ子さん、誕生日おめでとう。
そして、結婚ありがとう。」
「いや。その『そして、』の使いかた日本語としておかしいから。」

みんな大好きショクパンマン登場。

ファサッ・・・ファサッ・・・。

どこからともなくバラの花びらが舞い落ちる。
バタ子にスポットライトが浴びせられ、ショクパンマンが「さあ、おいで!」なんて手招きをしていた。


上位5つのイスラム食品

「あのさぁ・・・この『パカパパ〜ン、パカパパ〜ン』っていう結婚式の音楽はどっから流れてるの?」
「ウィ、全て愛の為せる業(わざ)ですよ。」
「ってか、アタシの誕生日はどこへやった。むしろ勝手に切り出した結婚話にベクトル向いてるじゃないのよ。」
「言葉としてヴァージン・ロードって、何だかひわいですよね?」
「そしてアンタはいったい私に何つ〜コメントを求めている何つ〜。」

バタ子とショクパンマンがすったもんだかみ合わない会話をしていると、
バターン!
パン工場のドアが乱暴に開くこと再び。

「・・・ってめえショクパン、さっき上空から石投げただろ!
パン粉にされて〜のか!
豚ヒレ肉に軽くまぶしてトンカツ作っぞコラぁ!って・・・
ああ、バタ子、今日だよな。おめでとう。
で、そこの女ったらしゃあ、表へ出やがれ!」
「・・・アンタはアンタで、怒るのと祝うの混ぜないでくれる?」

みんな大好きカレーパンマン登場。

ボウッ・・・。
吐息に『火気(かき)』の混じった、かなり爆発注意な状態だ。

「はあ・・・」

バタ子はため息をついたものの、しかし、彼らがこうして自分の誕生日を覚えててくれて、
曲がりなりにもお祝いしにきてくれることが嬉しいのもまた事実であった。

バタ子、そこで『ポンポン』と両者の肩をたたいて仲裁する。

「まあ、さ。

いっつもケンカしてると疲れちゃうよ〜?アンタらも、もうおとななんだからさ。
お茶する?座りなさいよ、とりあえず。」

「ムッ・・・バタ子・・・」
「マドモアゼル・・・」

2人は、しかし彼女には逆らわない主義なので(好きだから)素直に一時休戦してイスに座る。

「ちっ、しかしまあ、何だな。村はバレンタインデイ一色じゃねえか。
クリスマスはクリスマスで騒ぐしよぉ、ホント、節操がないっつ〜か、お祭り好きっつ〜か、日本に居ると、
もうここがどこなんだかわかんないぐらいに何でも祝うよな。
ハロウィンやってるとこもあるらしいぜ。
似合わね〜よなぁ?ウチを訪ねてくるバケモンは日本人なら『ナマハゲ』でじゅうぶんだっつ〜の。」

「あら。カレーパンマンは、バレンタインデーをお嫌いなのかしら?」
「・・・嫌いっつ〜か、あんまし縁がないからな。っていうか、ここ最近お前からもらうくらいだよなあ、毎年・・・。」
「ノン。
哀しい男。私は毎年貰ってましたよ。」

「けっ。
ホワイト・デーに四苦八苦してひ〜ひ〜言ってんじゃね〜か。そりゃあ首が回らないだろうよ。
大量に貰って一切無視してるオムスビ野郎とは大違いだよなあ、八方美人の自称モテ男くんはよ〜?」
「虚しい。ルーザー・ワンコのアウトレンジ・シャウトですよ、それは。」
「なんだそりゃ?」
「負け犬の遠吠え・・・」
「ワンコは英語じゃねえっ!」

「って、ま〜たすぐにケンカする!どうしてこう、アンタらは長続きしないのよ。」

バタ子はそこで、ガサゴソと棚から『例のもの』を持ってきた。
「じゃんじゃじゃ〜ん。ではふたりにチョコ、あげよっかな?」
「ボン♪待ってました〜!」
「・・・・・・・・・♪」

しかし、今年はちょっと『様子』が違ったのである!!


「あれ?チョコレート・・・包装も何もないじゃね〜か?」
「?ず、ずいぶん今年のは大きいじゃないですか、マドモアゼル?」

「あっら〜?やっぱ、わかる?

市販のものと見分けつかないくらいに・・・って頑張ったんだけどな〜?
今年は、ザンパンマンもいるでしょう?私、はりきっちゃって!
こう見えてもお料理が趣味なんだけど、ちょっと、今回は作ってみようかなぁ、なんて思ってね。」

「手作り?」

「・・・は、反応しすぎ・・・じゃない?」

毎年、出来合いのものをもらって、3人でバカ話をして、カレーパンマンが自分の試合のチケットをくれたり、
ショクパンマンが『ハーブティーセット』をくれたり・・・

・・・と、何気ないプレゼント交換的なチョコレートだったが、
今、ここに『手作り』することで、ついに『バレンタインデー要素』も加味されてしまった!!!!

「あ、あら・・・」

どうしよう。

「これ・・・みんなで食べようか?って思って・・・たけど・・・」
「つまり?」

世界にたったひとつだけの花。


「・・・割ったら・・・半分こだよ?ね、ねえ・・・前も・・・一緒に食べたよね?」
「ノン!
そのチョコはハート型・・・割って分けることなど、考えられないことですよマドモアゼル。

まして!
ましてバタ子さんの愛を誰かに分けるなぞ。ありえないことです。
女性が愛を示した・・・ならば男の打ち出すべき態度はひとつ!
その愛に必死で報いること。
私はこれを、食べなければならない・・・私が、ね。」

「か、カレーパンマンは・・・こういう・・・イベントは・・・きらいでしょ?こだわんなくっても・・・」
「いや・・・。
それが本命チョコってことになりゃあ、アイツがそれをもらっちまえばオレの負けってことになる。
バレンタイン自体は問題じゃねえ。
お前が市販のチョコをあらためてオレにくれても形式上の問題はねえ。
でも、そんなことしたらオレは負けになる。オレは負けるのと譲るのが大っ嫌いだ。
今1本のラインが引かれた以上、白か黒かと突きつけられた上で、
オレは引き下がるワケにはいかねえんだ。
既にハートに火がついた・・・鳳凰は、舞った!
となれば残るのは灰だけだ、ショクパンがぁっ!!!!」

「フフッ・・・♪
はじめから焼けているトリなぞ前菜のようなもの・・・。
バタ子さんとディナー後のオトナ時間には灼熱の太陽は無用。
美しき一等星が輝く!日は沈め、カレーパン!!!!」

「お〜い・・・ちょっと、やめてよ。」

ザンパンマンの登場で『手作りチョコ』を作ってしまったバタ子。
どうしてふたつ作らなかったのかは話の都合というやつで!仲良くみんなで食べようよということにはいかないのです!

バレンタインデー最大決戦、ついに勃発!!!!



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